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金(ゴールド)投資について考える

 以前に私は「資産運用の世界とポートフォリオの考え方」という記事を投稿しました。ポートフォリオを組む狙いはリスクを減らすことにあり、株式、債券、銀行預金、外貨預金、不動産、そういった性質の異なる資産を組み合わせて運用していれば、分散投資効果により最悪のシナリオを回避できるという考え方でした。その際は触れなかったのですが、投資対象としては最近注目されている金(ゴールド)というものもありますので、今回は金投資に触れてみたいと思います。投資の世界では、金投資はコモディティ(商品)と言われる投資対象の一つに区分され、一般には価格変動が大きい、ユニークな投資先と考えられています。

 

金投資の種類と一般的なメリット・デメリット

 金投資と言っても、いろんな投資手法があります。主な手法としては、現物、金価格に連動する投資信託、少額から始められる純金積み立て、金先物取引などです。手法によって特徴がありますので、投機性の高い金先物取引を除く、現物、金の投資信託、純金積立の3つについて考えてみたいと思います。

 どのような手法をとるにせよ、金という性格上、共通するメリット、デメリットがあります。

 先ずメリットとしては、金には希少性があり、古くから世界各地で価値を認められている資産です。言うなれば、金そのものに価値があります。株であれば会社がつぶれれば紙屑ですし、預金であれば銀行がつぶれれば1,000万円を超える元本については保証されません。金は金自体に価値があるという意味で安全資産ともいわれます。

 一方、デメリットとしては、金投資には預金のような利息や株式のような配当がなく、金を保有しているだけでは資産が増えないため、金投資で利益を出すには、購入時よりも高値で売却する必要があること、現物ならではの紛失や盗難のリスクがあるということがあります。加えて金はドル建資産ですので、為替リスクを内包しているということや投機資金も流入しているため値動きが大きい対象であるという点も留意しておく必要があります。

 

金の現物取引

 現物としては金の延べ棒をイメージすると良いと思います。金貨やネックレスといった金の宝飾品の売買も現物取引の一つです。金の現物取引はあくまでもモノの取引であるということです。

 株や債券のような金融商品は給与などの所得と分けて申告分離課税とすることができますが、金の現物を売却した時は、一般のサラリーマンなどの個人の方が譲渡した場合は譲渡所得となり、給与などと同じ総合課税の対象になります。そして、譲渡所得の計算方法は、その資産の取得の日以後5年以内にされたものを短期譲渡所得、5年超の場合を長期譲渡所得として区別され、それぞれ所得金額の計算方法が違っており、5年以内に譲渡すると税金が高くつく仕組みとなっているので注意が必要です

 金はモノですので、個人で売買する場合は、買うときも売るときも消費税がかかります。以前に、海外で購入した消費税がかかっていない金を日本に申告せず持ち込み、日本で売却する際、消費税分を上乗せして懐に入れるといった不正が報道されていたことがありました。こうした不正は言語道断ですが、消費税が低い時に購入して、消費税が高くなったあとに売却する場合は、金の価格が同じであれば消費税の差が売却益になったりします。将来、消費税のアップが予定されている場合、先に金を投資先として仕込んでおくということも一考に値するかもしれませんね。

 金を投資商品として見た場合、ネックレスなど宝飾品で保有するのは、売却する際に購入者の好みが入ることで価値が歪む可能性があるため望ましくありません。金そのものの価値で売買するためには、金としての塊で保有することが望ましいと言えます。しかも、換金の容易さ、流動性から言えば、延べ棒のような大きな塊より、100gといった小口の塊にして保有する方が汎用性は高いと言えます。贈与をする場合でも、100gの金であれば現在の相場では100万円以内に入りますので申告不要の範囲内にとどまりますから手段として面白いかもしれません。

 現物であれば盗難を防止するための保管場所をどうするかもポイントかと思います。もし貸金庫とかあれば、他の貴重品と一緒に入れて置けば保管コストは抑えられます。

 

金価格に連動する投資信託

 投資信託の形であれば金融商品ですので売買は容易です。一方、金価格に連動させるための管理が複雑であるため手数料がかかる商品になっていますので、私自身はあまり魅力を感じません。もし投資信託で金に投資する場合は、管理手数料が少しでも低いものを探すと良いと思います。上場している投資信託であれば流動性は高いため、相場に合わせた臨機応変な売買が出来ることはメリットとなりますが、個人投資家の場合、いつも金相場を見ているわけではないので、個人投資家はどうしても専門家にはかなわないという側面はあると思います。

 

純金積立投資

 コツコツ貯めるというコマーシャルで有名な商品ですが、相場観をあまり持たず資産を積み増す手法で短期の投資には向きません。またコツコツ貯めるたびに手数料がかかることがデメリットという意味では投資信託と同様です。長期間にわたって自動的に資産を積み上げていく投資の形になりますので、思考停止に陥ってしまうと、現物で引き出したり売却したりするタイミングを捉えるのが難しく、「資産は寝かしっぱなし」ということになりがちなことも注意する必要があります。

 

 金はよく安全資産と言われます。アメリカの株式市場と逆相関するとも言われていますが、誰もが価値を認める実体のある資産であるという特徴を踏まえれば、例えば株式市場の暴落時のヘッジとして、守りの投資資産として金投資を一部ポートフォリオに組み入れるのは選択肢の一つだと思います。その場合には、投資信託や純金積立投資よりは、100gの現物という実態のある形で保有するのが良いのではと私は考えています

 金投資を考えるのであれば、金の相場観に頼り過ぎず、全体の資産構成の中で金投資も検討してみてはいかがでしょうか?