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シリコンバレー銀行の経営破綻が円高のきっかけになる可能性がある訳

 シリコンバレー銀行の経営破綻に端を発した米国金融市場の動揺は当面は続くと思われます。対岸の火事として傍観すると痛い目に遇いますので、少し冷静になって、何が起きる可能性があるか歴史から学びたいと思います。少しでも皆様の資金運用の参考になれば幸いです。

ただし、以下はあくまでもひとつの私の見方ですので、最終的な投資のご判断は自己責任でお願いします。

 

キャリートレードの巻き返し

 キャリートレードとは、金利の低い円で資金を調達して米ドルなどの高金利通貨に替えて投資を行う取引を指します。円を売ってドルを買うことになるので、円安が進み、安くなった円で調達した資金を返済しますので、金利収入だけでなく、為替でも利益を確保することが出来るといった取引になります。しかしながら、2008年にリーマンショックが起きた際には、大きな損失を被った金融機関が損切りを行い、大規模な円キャリートレードの巻き戻しを行った結果、急激な円高が進行しました

 今回のシリコンバレー銀行の経営破綻が為替にどのような影響を与えるかはわかりませんが、日米金利差はリーマンショック当時より拡大しているため、円キャリートレードの残高は積みあがっていることが予想され、一旦アメリカで株式の暴落が起これば、為替は急激な円高に向けた動きを加速する可能性は高いと思います。少なくとも歴史はそのように語っています。

 

為替の動向には要注意

 日本では機関投資家だけではなく、個人レベルでも外貨資産への投資がブームになっていますので、ひとたび円高になると、損失を被るのはプロの機関投資家だけではなく、個人投資家レベルにも及ぶと考えられます。

 為替は時として急激に動き、対応しようにも出来なくなりますので、大きな損失を被る前に、念のために、外貨のポートフォリオの割合を減らしておくことは一考の余地があると思います。特にドル円が大きく動くのはアメリカ市場が開いている時間である場合が多いので、日本で言えば深夜から明け方にかけての時間です。当面は円安が急激に進行してきた最近のトレンドを疑ってみる必要がありそうです。

 

日本経済と為替動向

 日本は輸出企業が多いため、昔は円安が日本経済には有利と言われており、円安は株高に繋がりました。しかしながら、最近は石油をはじめとする資源や食料が高騰しているため、輸入価格が上がり、それが原因でインフレを引き起こしています。その意味では、現在の状況では、円高は石油などの輸入価格の抑制につながるため物価の安定に繋がり、日本経済にとってはプラスとなり、日本株にはポジティブな影響を及ぼす可能性があります

 また、日本の金利が直ちに上がることは想定しがたいため、あくまでも私の個人的な見解ですが、日本株への投資は外貨に比べて比較的安全と考えることが出来ます。円高になったら、それは日本株の絶好の仕込み時が来たと捉えたいです。

 

まとめ

 以下は、あくまでも私の考えですので、皆さんのご参考程度にとどめてください。歴史に学び、基本は円高トレンドへの備えを行う」ということです。

・為替は円高トレンドに転換する可能性が考えられるため、今後の外貨投資は控えめにします

・日本が金融引き締めに本格的に転換する前にアメリカで金融市場で動揺がおきたため、金融システムの安定のためには日本では低金利が当面継続することが見込まれ、これは日本株のサポート要因となります

・ただし、何れは異次元の金融緩和は解消に向かうことが予想されるため、日本の債券投資は控えます

 日本の金融政策がいつ本格的に引き締めに転じるかについては、正直、イメージが湧きません。ソフトランディングのためには、時間をかけながら、ゆっくりと金利を上げていくしかありませんが、市場に出回った過剰な流動性は、結局は株式や不動産に投資され、バブルの発生と崩壊を繰り返すことになるため、私の生きているうちには、日本でもペイオフを含むハードランディングが起こることをリスクシナリオとしては想定しておく必要があります。そう考えると、資産運用にあたっては、金融資産にだけ投資を行うのではなく、一部は金(ゴールド)などの現物資産に投資をする選択肢も一度は検討しておきたいところです。