消費者契約法は弱い立場の消費者を守ってくれる力強い法律です。
消費者は、事業者と比べて持っている情報量が劣るため、事業者との交渉では不利な立場にあります。しかしながら契約書の内容があまりにも不当な場合は、弱い立場の消費者は消費者契約法によって守られる場合があるのです。どんな場合に契約の取消や無効を主張できるか知っておくことは、いざというときの自分の身を守ることにきっと役立つと思います。
不当な勧誘による契約の締結は後から取消せます
嘘を言われた場合
大事なことについて嘘をつかれた場合は、不当な契約勧誘と見做され、契約を取消すことが出来ます。例えば、ガソリンスタンドで車のタイヤの点検をした際、安全走行に明らかに問題ないのに、「このまま使うと大事故に繋がりますよ」とか言われて新しいタイヤを購入した場合とかです。
不利になることを説明されなかった場合
例えば、近い将来、日照を遮るマンションが建築される計画があることを知っていながらその説明を敢えてせずに、「日当たりは良好ですよ」といった説明を受けてマンションを買わされた場合などは、不利益事実の不告知として契約の取り消しができます。プロであれば、ちゃんと不利な事実は説明するべきですよね。
限度を超えて大量の商品を購入させられた場合、無理やり買わされた場合
例えば、同じ服を何十着も買わされた場合などは通常の量を著しく超えたものとしてその契約は取消すことが可能です。また、押し売り、あるいは軟禁されて販売店等から返してもらえず、無理やり買わされた場合なども、本人の意識に反して契約を締結させられたとして取消すことが出来ます。
不安を煽った告知が行われた場合
就活セミナーや霊感商法によって不安を抱かせる告知、高齢者等をターゲットに不安を煽ってした契約は取消しの対象です。デート商法のように相手の好意を逆手に利用して何か販売することも同じく取消し対象です。
消費者の利益を不当に害する契約条項は無効です
消費者の契約解除権を放棄させる条項
「販売した商品はいかなる理由があってもキャンセル・返品はできません」というような一方的な条項は仮に契約書に書かれていても無効です。同様に「事業者側が認めた時にのみキャンセル・返品できます」という条項も無効です。
事業者は責任を負わないとする条項
事業者の損害賠償の全部を免除する条項や、事業者の故意、または重過失による場合に損害賠償の一部を免除する条項も無効です。契約ではこの重過失という言葉もキーワードです。これは単なる不注意とは違って文字通り大きな過失、すなわち些細な注意を払っていれば気づけるようなことに気づかなかったことで、そのような責任まで免除するという一方的な契約は明らかに不公平だからです。
こうしてみると、消費者は理不尽な契約からは法律で守られていることがわかります。もし「この契約は何かおかしい」と思ったら、泣き寝入りせずに消費者ホットライン(☎188)で聞いてみることをお勧めします。