自動車は相続資産となりますので、自動車の名義人が無くなれば、その自動車は相続税の対象となります。よく、生前に名義は子供にせずに自動車を購入し子供に使わせてあげれば節税対策になると言われますが、これは自動車の時価が購入時点より相続時点の時に方が経年劣化により下がるので、単純に購入資金相当額のお金を相続するよりは自動車の時価が下がるため、結果として節税に繋がることがあるという意味です。
自動車購入を相続税対策に使うためには、自動車の相続税評価の仕組みを知ることが必要です。この投稿を最後まで読んでいただければ、税金を適正化しつつ自動車の購入を行うことが出来ます。
自動車の相続税評価方法
業者による中古車買い取り見積もり価格
中古車の簡単な査定は、大手の中古車買い取り業者のサイトで簡単に知ることが出来ます。必要な情報は以下の5点です。
- 年式
車検証をみて「初年度登録年月日」を確認します。 - メーカー
これも車検証を車名を拾います。 - 車種・グレード
車検証の車台番号と型式を確認します。車台番号がわかれば各メーカーのホームページで車種とグレードを確認できます。 - 走行距離
車の精算走行距離計(オドメーター)で確認できます。 - 色
以上の情報があれば、一般的な状態での中古車の査定額は確認できますので、その査定額を相続税評価額とします。
業者の査定額
WEBでの簡易査定は車の個別の特徴は反映できませんので、傷や凹みがあったり、高価なオプションがついているような場合は、業者に査定してもらうのが一番確実です。もっとも、売却をする予定があれば業者の査定も真剣ですが、相続に使うだけの査定であれば、WEBでの簡易査定と大差がない可能性はあります。
売却代金
実際にその自動車を使わないのであれば、売却することとなりますので、その場合はその売却代金が相続税評価額となります。ただし、売却にあたって売り急ぎなど特別な事情がないことが重要です。
会計上の評価額
法人が所有している自動車などは、購入時の価格から減価償却を行って時価を貸借対照表に計上しているため、その会計上の簿価を相続税評価額として使うことも可能です。
相続における注意事項
亡くなった方がお金を出して、名義が相続人であるような場合は、自動車購入資金を生前贈与されたと考えられますが、この場合は暦年贈与の基礎控除枠の110万円を超えている場合は贈与税の申告義務が発生します。
また、生前贈与は現在であれば3年、2024年以降は7年の足し戻し期間が設定されているため、その期間内であれば、基礎控除枠内であっても、全額を相続財産に足し戻す必要がありますので注意が必要です。
お金を出してもらって自動車を相続人名義にするのではなく、亡くなった方の名義にしたままで使用貸借の形で相続人に使わせておけば、相続時点の自動車の時価で相続することが可能となります。最初に述べた通り、相続時点の自動車の時価は購入時より下がっていることが多いと思われますので、名義を相続人にする場合と比べ、税金面では有利なことが多いと考えられます。
まとめ
自動車を始め、不動産を使った節税は良く行われますが、土地などの相続税の評価はそもそも時価より2割程度安く設定されています。
それと比べると、自動車の場合は自動車の購入価格で課税されるよりは相続時点の時価で相続税を評価してもらえるようにしておく方が有利ですが、これはあくまでも相続時点の時価そのものと言えますので、土地に比べると節税効果は限定されると考えられます。
とは言え、自動車が相続人にとって必要な資産であれば、現金のままにしておくよりは、購入して相続人に使ってもらっておくというのは有効な対策と言えると思います。
相続税の対策は実家を相続する場合など、不動産を対象とした場合に知っておいた方がよいことが多くあります。不動産は相続財産の多くを占める可能性がありますので、時間のあるうちに専門家によく相談しておくことが一番の対策になると思います。