生活に役に立つ知識 by SEKIYA Office

皆様のお役に立つ生活の知識を提供するブログです。

60歳以降も会社で働こうとする私の理由

 私はいま58歳です。身体が元気であれば60歳以降も65歳まで働こうと思っていますが、若い方の中では、FIRE(=Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)という言葉に代表されるように、「お金を貯めた上で早期退職して、お金のためにヘトヘトになるまで働かざるを得ない環境から自分を解放する」といったライフ・プランも注目されています。現時点で私が何故60歳以降も会社で働くことを選ぼうとするのか、そこにはどんなメリットがあると考えるのか、あくまでの「私個人の考えとして」にはなりますが、皆さんがご自身のライフ・プランを何れ検討する上でお役に立てるのではと思います。

 

新しいことに挑戦するためのベースを確保する

 私は、55歳を過ぎてから、60歳以降の自立した生活を目指す準備という意味もあって、通勤時間等の隙間時間で新しいことを学ぼうと心に決め、運も味方して、ファイナンシャルプランナー(2級)、宅建士、行政書士の試験に合格することが出来ました。この歳になって今更ながら学ぶ楽しみを味わいましたが、そもそも資格は実際に使ってみて初めて価値が出ると思いますので、元気なうちに、個人事業主としてこれらの資格を使って何か世の中の役に立ってみたいと強く願っているところです。ただ、現実には世の中はそんなに甘いものではないと思いますので、個人事業主として安定的な収入が得られるのか不安があるのが正直な気持ちです。

 もし60歳以降も働く場所があれば、ある程度の安定収入が確保できますので、副業という形のスモール・スタートで個人事業主としての挑戦を実行にうつしやすくなります。退路を断った挑戦ではないので、「甘い!」と仰る方もいるかも知れませんが、せっかく安定収入を得られる機会があるのであれば、それを使わない方がもったいないという考え方です。

国民年金の任意未加入時代の補填

 国民年金は現在、20歳以上・60歳未満のすべての人に加入する義務がある「強制加入」の制度です。20歳以上の学生については、在学中は国民年金保険料の納入を猶予して、10年以内に追納することで将来もらえる年金額には影響が出ないように出来る「学生納付特例制度」はありますが、基本的には保険料を払うのは義務になります。

 ただ、私が学生の頃は国民年金の保険料の支払いは強制ではなく任意加入でした。20歳以上の学生で国民年金が強制加入となったのは1991年4月からです。任意加入の時代に学生時代を過ごした私のような方々は、老齢基礎年金を満額受給できないという方が多いと思います。私自身もその事実を年金定期便をみて初めて認識しました。そして、当時の未納となっている国民年金保険料は今からは払いたくても払うこともできず、今となっては老齢基礎年金は満額受給できないのです。

 しかしながら、60歳以降も会社で働く場合は60歳以降の加入が義務付けられる厚生年金において、増えない老齢基礎年金の穴埋めを行なえる経過的加算という制度があります。この経過的加算の制度があるおかげで、60歳以降も厚生年金に加入し続けることによって実質的には老齢基礎年金相当額をほぼ満額受給できるので、60歳以降も会社で働く場合は、国民年金の任意未加入時代の補填が行えるというメリットがあります

 

老齢厚生年金の増額

 老齢基礎年金は満額という概念がありますが、老齢厚生年金には満額という概念はありません。老齢厚生年金には報酬比例部分があり、厚生年金の保険料を支払った期間中の報酬とその加入期間に基づいて年金額が計算されています。すなわち60歳以降も厚生年金に加入し続けることで、老齢厚生年金の報酬比例部分は増えますので、65歳以降に受給する厚生年金の増額に繋がるのです。

 インフレとなれば受給する年金は実質的には目減りします。60歳以降も働き続けることで、受給する老齢厚生年金が増えるというメリットは大きいと思います。

 

第3号被保険者である妻の国民保険料の支払い

 専業主婦である妻は第3号被保険者となりますが、国民年金の第3号被保険者は、自分で保険料を納付する必要がありません。会社勤めの私が納めている保険料で妻の分も負担していることになっているからです。

 しかしながら、妻は私より3歳年下ですので、私が60歳で会社を辞めるとすると、妻は第3号被保険者の資格を失い、妻が60歳になるまでの残り3年は自分で国民年金保険料を納める必要が発生します。

 妻が60歳になるまで、私が60歳を超えて働くことで、妻の保険料は私が納める保険料で引き続き効率的に支払うことが可能となりますので、これも私が60歳以降に私が働くメリットかと思います。妻の老後の安心感にもつながります。

 

 個々人でそれぞれ事情が異なると思いますが、会社員の場合は、特に年金制度との兼ね合いにおいて、一般には60歳以降も働くメリットは大きいのではと感じています。

 ただ、私的には、最初に述べた理由が一番です。すなわち、会社員時代の延長で「生活のために働かなくては」というよりは、単なる会社員としての活動から、少しづつ軸足をより自由な個人事業主としての活動に移していく期間として有効活用できるという理由です。65歳以降になっても自分のペースでイキイキと働ける環境を作り上げるため、今から時間をかけて挑戦していくことは、人生100年時代と言われる時代に突入する我々には、少なくとも自分としては大切なことのように思えるのです。

皆様のライフ・プランを検討する上での参考になれば幸いです。