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住民税非課税世帯は2024年度以降は減少する?

 生活の厳しい世帯には住民税を課さない住民税非課税という仕組みがあります。コロナの中で、住民税非課税世帯には給付金が支給されたりしたこともあり、住民税非課税世帯という言葉を知っている人は多いと思います。タイトルでは、「2024年度以降にそうした生活の厳しい世帯が減少するのでは」と言っていますが、これは決して生活の厳しい世帯が減る見通しという意味ではなく、2023年度から住民税の申告の方法が変わるため、住民税非課税に関する取扱いの一部の不公平が2024年度以降は解消される見通しというお話しです。

 税金の話しって難しいので、本当に公平に税金を払っているのか不安になりますよね。こうして税金の知識を増やすことは、大切なご自身の資産を.守ることにきっと役立つと思います。

 

住民税非課税世帯とは

 住民税とは、お住まいの都道府県および市町村に納める税金です。市民税・県民税と呼んでいる自治体もあります。因みに、所得税は国に払っている税金です。

 住民税は住民が行政のサービスを受けるために考え方としては住民みんなで分担して払っているものですが、全ての住民が払っているわけではありません。生活保護を受けている世帯など、生活が厳しい世帯では住民税が免除される場合もあり、そのような世帯を住民税非課税世帯といいます、また、住民税非課税世帯に対しては、住民税が免除されるだけではなく、さらにいろいろな支援や優遇措置があります。この優遇措置は住んでいる場所によっても違いますが、主な優遇措置は以下の通りです。

  • 住民税の全額免除や一部免除
  • 国民年金国民健康保険料負担の軽減
  • 高額医療費負担の軽減
  • 介護保険料負担の軽減
  • 2歳未満の保育無償化
  • 大学など高等教育を受ける支援

 これらに加え、コロナの間は10万円や5万円といった給付金が支給されたことは記憶に新しいと思います

配当所得の申告不要制度

 「配当所得」は原則として「総合課税」の対象となる所得で、確定申告の対象ですが、現在の制度では、確定申告をしないこと(確定申告不要制度)を選択できます。そして、所得税と住民税は別の制度ですので、所得税では確定申告して、住民税では確定申告をしないと扱いを分けることもできます。

 一般に主たる収入が年金である年金暮らしの高齢者は、所得が発生しないか少ないということで住民税非課税世帯になっていることがあると思います。但し、こうした高齢者でも株式等を保有していて、配当を沢山もらっているかたがいらっしいます。実はこうした方は、配当所得の申告不要制度を選択することで、配当所得がそれなりにあっても住民税非課税世帯のままであることが現行制度ではあり得るのです

 因みに誤解のないように付け加えれば、配当不要制度を選択しても、配当収入に対しては原則として所得税に加え住民税も源泉徴収されているので、住民税を払っていないということではありません。配当所得を考慮すれば住民税非課税世帯に該当しない方が多くいらっしゃって、その方が住民税非課税世帯という括りで種々の支援策を享受しているという意味です。

 最近よく言われるFIREも住民税は配当不要制度を活用している場合が多く、似たような構造です。因みにFIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する言葉で、資産を若いうちに確保して、その資産を運用することでその後の生活を成立させようとするものです。なぜ、住民税のみを配当不要制度を活用しているかと言うと、その方が配当所得にかかる税率を低く抑えることが出来るからです。

2023年度分の申告からは所得税と住民税の課税方式は一致させることに

 2022年度の税制改正によって、所得税と住民税で異なる確定申告の要・不要を使い分けることが2023年度分の確定申告(2024年の申告)から出来なくなります。これによって、配当所得については、所得税で確定申告して税金を還付しつつ、住民税では確定申告不要制度を使って様々なメリットを享受するような税金制度の良い所取りが出来なくなったのです。この結果、配当所得で所得税の還付を受けたい人は所得税でも住民税でも同じ所得を確定申告することになりますが、特に年金生活者は源泉徴収された配当所得の税金の還付申請を行う方が有利な場合が多いと考えられ、配当所得が反映される2024年度からは、住民税非課税世帯が減ることに繋がるだろうというのが私の想像です。

 結論としては、本当に困っている世帯に絞って住民税を免除したり生活支援するということに繋がりますので、私は正しい方向だと思います

税金の制度は良く変わるため注意が必要

 税金の制度は良く変わります。基本的には税制の抜け穴のような節税対策は改正によって穴が塞がれると思ってよいと思います。また納税する我々も正しい納税は絶対すべきですし、逆に納税したお金は正しく使って頂きたいものです。

 なお、確定申告という制度そのものに無関心な方も多いと思いますが、確定申告して正しい納税を行う方が不申告のままでいるよりお得になるケースもよくあると思われますので、一度、専門家に相談していただくと良いと思います。

 税金の世界は難しいですけど、関心をもって生活したいものです。