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シリコンバレー銀行の経営破綻と今後の世界経済への影響

 アメリカでIT系のスタートアップ企業などへの資金提供で知られるシリコンバレー銀行が経営破綻しました。またこの少し前には暗号資産を扱う最大手のひとつであるシルバーゲート銀行が自主的に精算を開始しています。48時間の内に大手銀行が2行破綻したことになりますが、シリコンバレー銀行の経営破綻はアメリカでは市場2番目の規模の破綻だそうです。このシリコンバレー銀行の経営破綻が及ぼす世界経済への影響と私たちが取るべき行動について考察していきたいと思います。一つの考え方として皆様のお役に立てば幸いです。

 

第二のリーマンショック

 2008年9月に起きたリーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけとした世界金融危機リーマンショックです。当時、経済のグローバル化があだとなり、世界中の金融機関が危機に陥り、世界各国は金融機関を救うため、世界中で金融緩和を進め、金融の安定性を回復・維持することでその後の世界経済はなんとか立ち直りました。リーマンショックの原因のひとつは低金利化で起きた不動産バブルと言われています。サブプライムローンと言われる形で多くの個人が多額の債務を追って不動産を購入していたため、不動産バブルがはじけてローンを返済できずに路頭に迷った多くの個人が発生しました。

 今回のシリコンバレー銀行の破綻とリーマンショックは共通項が多いようです。コロナの影響で世界経済が低迷したため世界的な低金利化にある中、アメリカの株式市場は右肩上がりに上昇しています。低金利を背景に資金を調達し、大量の資金が株式市場に流入しているということが背景です。今回のシリコンバレー銀行は多額の資金を米国債などの債券で運用していたようです。そこに最近のFRBの金融政策の見直しによる金利の上昇があり、金利の上昇を裏腹に保有していた債権の含み損が拡大し、経営破綻の一因になっていると考えられます。

 リーマンショックの時がそうであったように、経済はグローバル化が進んでおり、シリコンバレー銀行の破綻は直接・間接に世界中の金融機関に波及する筈です。特に、金利の上昇に伴い多額の保有債券の含み損を抱えている金融機関は、市場から厳しい目で見られることでしょう。日本でも、アメリカの債券に投資する投資信託などを購入しているのは、法人・個人を問わず多くいるのではないでしょうか?

 多額の債券を保有する金融機関が機能不全になれば、経済の潤滑油であるお金が回らなくなり、景気が一気に後退するという第二のリーマンショックになることは十分想定しておいた方がよさそうです。

 

日本における影響

 日本は未だ超低金利を続けており、これ以上の金融緩和は出来ない状況です。一方、過剰に供給された資金は少なからずアメリカなどの海外の債券にも投資されているため、日本の金融機関や個人投資家も、最近のアメリカの金利上昇により既に含み損を抱えていると思われます。3月末は多くの金融機関を始めとした法人が年度決算であるため、少なからず決算にはこの影響が表れると思います。

 一昔前は、「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪をひく」とも言われたように、アメリカが景気後退入りすれば、日本は輸出によるGDP稼ぎは出来なくなるため現在の円安メリットは享受できず、アメリカと連動して日本経済が停滞すると考えられます。むしろ為替面では日米金利差は今後縮小するとみて、円高が進行する可能性の方が高いかもしれません。

 シリコンバレー銀行が破綻したことをきっかけとした影響は、一時的なものにとどまらず、中長期に及ぶ可能性は覚悟が必要だと思います。

 

個人ベースでは何が出来るか

 株式市場も債券市場も一時的には大きな下落があっても、短期的には焦って動かないことが大切だと思います。リーマンショックの時も、結局は一時的なショックを耐えて保有し続けた投資家が勝っています。

 一方、長期間に及ぶ金融緩和で過剰となった資金の根本的な問題は簡単には解決されないと考えられます。本来は金融引き締めにより市場の資金を回収してバブルを抑制したいところですが、金融引き締めを少しするとすぐにどこかのバブルがはじけるといった今回のような状況になるため、経済成長を維持したままの解決、すなわちソフトランディングによる解決がますます困難になっている状況です。

 可能性は低いのかもしれませんが、リスクシナリオとして、何れはハードランディングのシナリオを念頭において対策を考えておいた方が良いと私は考えます。ハードランディングとは経済がクラッシュして、多くの人々が痛みを分かち合うことを強要されるシナリオです。そのような状況下では資産運用は守りに徹すべきと考えますので、あくまでの私としては以下の通り考えます。

 ① 生活の基盤を日本に置くのであれば、外貨資産はやめて円資産を増やす

 ② 日本株であればキャピタルゲインは狙わず高配当利回り銘柄中心にする

 ③ 暗号資産などの実態のない資産への投資は様子見とする。

 ④ 余裕資金の本格的な再投資のタイミングは短期で考えず、経済がクラッシュしたら投資再開を考えるぐらいの長期目線で忍耐する

 

まとめ

 経済の話し、投資の話しは万人向けの正解はありませんし、取れるリスクも異なりますので、私の考えは単なる参考かと思います。ひとつ感じるのは、「リーマンショックはまだ終わっていなかった」と言うことです。金融緩和で市場に大量にあふれた資金を上手に回収しない限り、金融マーケットは安定しないので、頭の片隅には最悪のシナリオを置いて行動することが必要ということだと思います。

 少し前に、ピケティの「21世紀の資本」という論文で、資本収益率と経済成長率の不等式が注目を浴びましたが、歴史的にはその不等式が維持できずに強制的に調整がなされたことがあって、それが戦争だったりしたという話しでした。もしかしたら、「資本収益率を調整するためには何れ何らかのクラッシュが来ることは歴史的な必然」ということを暗示しているのかなと思いました。

 難しいことはさておき、起きて欲しくないことのシナリオも念頭に置きつつ、私はまずは地に足付けて真面目に日々の生活を充実させることに邁進したいと思います。